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多数派の横暴、でもこれはありえん<`ヘ´>

社民、民主、共産3会派で提出した「安全保障関連2法案制定に反対する意見書(案)」の提案説明をするための原稿づくりに朝までかかりました。討論は5分と決められていますが、提案説明は時間の取り決めはありません。ですから、批判が出ないぎりぎりのところとして15分程度の原稿にしました。多数派の横暴、でもこれはありえん<`ヘ´>_d0136506_18335772.jpg
しかし、後から自民党から「平和安全法制に関する意見書(案)」が提出され、本会議では自民党案から議題となり、自民党案が賛成多数で可決されるや一時不再議の原則により、安保法制反対の意見書は、議決不要として議題にも上らずスルーされました。これは、ありえない。
多数派の持っているからといって、こんなことがまかり通るのであれば、少数派はどんな意見書を提案しても、多数派がその内容の意見書を提案し可決すれば、少数派の意見書は無視されます。
一時不再議で議決不要になるのは納得できても、両案を一括議題にしなかったのは、多数派の横暴と言わざるを得ません。
幻となった提案説明です。長文ですが読んでいただければ少しは悔しさも紛れます。↓

提案者を代表して、発議案第4号「安全保障関連2法案」制定に反対する意見書(案)について、提案理由の説明をいたします。

衆議院平和安全法制特別委員会は昨日、安全保障関連法案について、採決の前提となる中央公聴会を終えたことで、政府は、明日の特別委で採決・可決後、16日の衆院本会議での採決を目指す方針のようです。
 
しかしこの110時間に及んだ国会審議を通じても、6月の時点で8割を超えていた「政府の説明不足」という世論が、ここにきて、払しょくされたとは言えません。100時間を超えて衆議院で審議したにも関わらず、国民はなぜ「政府は説明が不足している」と言っているのでしょうか。政府はおそらく気がついているのだと思います。
 
これは、国民に対して安全保障関連法案の説明が不足しているというよりも、既に根拠を失い、国民を納得させる理論的な説明をすることができないということ、このことに既に気が付いてはいるが、引くに引けない状況に政府は陥ってしまっているということです。
 
まず、違憲立法は、どんな理屈をつけても違憲だということです。
 
安倍首相は、ドイツでのサミット後に「今回の法整備に当たって憲法解釈の基本的論理は変わっていない。砂川判決の考え方と軌を一にするもの」と述べ、その後国会答弁で、1959年の砂川事件の最高裁判決が、集団的自衛権の行使を容認する根拠になると明言しました。
 
集団的自衛権行使容認の根拠を砂川判決から導き出すことが無理なことは、政府自身も昨年の与党内の論争の中で納得し、あきらめたと思っていました。昨年の閣議決定前に公明党の山口代表は「砂川判決は個別的自衛権を認めたもの」と述べ、北側副代表も「砂川判決は集団的自衛権の行使容認を認めていない」と反発し、衆議院法制局も「砂川判決は個別的自衛権を認めたものとして解釈するのが一般的な学説」と言っていたはずです。それがここにきて、自民党推薦の憲法学者にも見放され、行き詰って、高村副総裁だけしか言っていなかった「高村理論」と言われる「砂川判決集団的自衛権容認論」に政府の言い分が、舞い戻ってきたということです。
 
間の悪いことに、自民党の谷垣幹事長に至っては、安倍首相のサミット後の「砂川判決」を根拠とした発言の直前の6月5日の記者会見で「砂川判決自体は、集団的自衛権というようなことには言及していない。」と述べました。
 
谷垣幹事長は、その後、安倍首相のドイツでの発言を受け、あわてて同判決と「安保法制」が矛盾しないと述べますが、「砂川判決は集団的自衛権に言及していない」と言った後に「砂川判決は集団的自衛権容認の根拠になりうる」と言うのは、矛盾と言う以外、何物でもありません。
 
実際、6月9日の自民党の総務会では木村義雄参議員議員が、砂川事件の最高裁判決を根拠に集団的自衛権の行使を認めるという憲法解釈に対して「短絡的すぎる。そういう主張をしていると傷口を広げるので、これ以上言わない方がいい」と述べたことも報道されました。
 
その後の国会答弁でも、中谷防衛大臣は「砂川判決は集団的自衛権行使の直接の根拠としているわけでない」と意味不明の答弁をして、最後には「指摘も踏まえて、今後さらに勉強していく」としか答えられないありさまです。政府が今後勉強しないといけない状況なのに、明日採決などできるはずありません。
 
ですから、今の政府見解は、内閣の内部ですら、意見統一ができないこともありますが、砂川判決を根拠とした集団的自衛権合憲論は、木村義雄参議院議員が言うように、論理的に破たんしており、納得できる説明は誰がやっても無理と言うことに他なりません。
 
既に昨年の閣議決定以前から、公明党からの指摘もあり、政府自身も論理的に破たんしていたことはわかっていました。そこで、政府が編み出した集団的自衛権合憲論のもう一つの根拠が昭和47年政府見解です。
 
政府が1972年に出した、通称「昭和47年政府見解」は、実は集団的自衛権の行使を禁じていなかったので、その時と何ら政府の考え方は変わっていないという論法です。この論法のもとに昨年集団的自衛権の行使容認が閣議決定され、安保法制が策定されました。もともとあった政府見解にすでに書かれていた、だから合憲だし、立憲主義にも反しないというわけです。
 
この「昭和47年政府見解」では自衛権についてこのように書かれています。これは今回の集団的自衛権行使の新3要件の元になった文章です。「外国の武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底からくつがえされるという急迫・不正の事態に対処し、国民のこれらの権利を守るための止むを得ない措置としてはじめて容認されるものであるから、その措置は、必要最小限度の範囲にとどまるべきものである」簡単に言うと「他国の攻撃で国民の権利が根底から覆されるような場合で他に手段がなく、やむを得ないときは必要最小限の自衛権の行使ができる」と言うことです。

これは、専守防衛の我が国として当然の考え方であり、個別的自衛権の説明そのものです。だから、どこにも集団的自衛権を容認する内容は書かれていません。しかし、先日、横畠法制局長官は「外国の武力攻撃によって」の主語が書かれていないことから「我が国に対する外国の武力攻撃」と言う意味だけでなく「同盟国等に対する外国の武力攻撃」とも読めるとの見解を示し、「米国に対するイランの武力攻撃によって日本国民の生命等が根底から覆される事態」ホルムズ海峡の事例なども読めるはずだという主張を展開し、そのように国会で答弁しています。
 
しかし、野党の情報公開請求によって昭和47年政府見解を作成した当時の法制局長官が「限定的な集団的自衛権行使」を含めてあらゆる集団的自衛権行使が憲法9粂において許容される余地はないと、昭和47年政府見解を説明するに当たって、繰り返し答弁していたことが分かりました。
このことから、政府の言う「昭和47年見解から集団的自衛権の行使は禁じていなかった」という論理もあえなく破たんし、とうとう政府は、限定的であれば集団的自衛権の行使は合憲という論拠は全て失いました。だから、なりふり構わず、またぞろ「砂川判決」に根拠を求めに戻ってきたということです。
 
どんなに審議を重ねても憲法違反が明々白々、「合憲」にはなりません。論理破たんしているものを、数の力で押し切れるものではありません。
 
また、この法律によって自衛隊員のリスクは高まるのかという命題に対して安倍首相は「隊員の武器使用権限の拡大によってリスクは減る」と先日NHKの番組で答えました。しかし、谷垣幹事長は新たな安保法制に伴う自衛隊員のリスクに関し「実際を言えばリスクはある」と述べ、防衛族と言われる、自民党岩屋安保調査会副会長は「明らかに活動範囲や活動内容は拡充されるわけだから、リスクが高まる可能性があるのは事実」と安倍首相以外の方は当たり前の考え方を示しました。
 
安倍首相が言われるように武器使用が拡大され、他国の部隊が攻撃を受けた場合に自衛隊が駆けつける「駆けつけ警護」がこの法案で認められることになります。すなわちPKOで派遣された自衛隊が、攻撃を受けて防戦している部隊を助けに行くことですから、当然、自衛隊も戦闘の現場に飛び込むことになります。「戦闘が終わってから助けに行く」いう話にはなりません。安倍首相は、「自衛隊が戦闘に参加することはありません」などと言いながら「駆けつけ警護」ができるようにするというのは完全な矛盾で、戦闘に参加する以上、自衛隊員のリスクが減るなどと言うのは、自衛隊員に対しての敬意のかけらも感じられない暴言と言わざるを得ません。

そして、過去の日本の戦争を「間違った戦争」だと言えない安倍政権が、この法案を推進することの危険性を感じずにはいられません。戦後の国際秩序は、日本、ドイツ、イタリア三国の戦争は侵略戦争だったという歴史的事実の上に成り立っています。ところが安倍首相は、国会で何度追及されても、過去の日本の戦争について、「侵略戦争」はおろか、「間違った戦争」とも認めません。それどころか戦後政治の出発点となったポツダム宣言についてすら、「つまびらかに読んでいないので論評は差し控えたい」と答弁し、首相としての資質が問われる事態にもなっています。

合憲か違憲の前に集団的自衛権の行使は、同盟国への攻撃を我が国の攻撃と見なして武力で反撃する権利です。いろいろな国と戦争をしてきたアメリカの戦争に自衛隊が参加することです。どういう理屈をつけてもそういうことです。

自民党の幹事長や政調会長、閣僚などを務められた長老の方々が、この法案について「国策を大きく誤ることになる」などの声明をそれぞれ発表し、法案反対の意思を表明しました。かつての自民党の中枢を担ったみなさん、改憲の立場にある憲法学者や歴代の内閣法制局長官もこぞって反対の声を上げました。
さらに日本弁護士連合会や香川県弁護士会、文化人、宗教者など幅広いみなさんが立場の違いを超えて反対の運動に立ち上がっています。

議場にいるすべての議員のみなさんに心から訴えます。政治的立場の違いを超えて、政府と国会に安保法制廃案を強く求めようではありませんか。香川県議会の見識、勇気を示そうではありませんか。満場の御賛同、議員諸氏の良識ある判断を期待し、提案理由の説明といたします。以上であります。
by takatanx | 2015-07-14 18:45 | 県議会 | Comments(0)


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